【徒然なるままDIARY】

映画、音楽、写真(カメラ)、ネコ、旅行、絵画、オーディオ等…作者「NOBU」の興味があることを書きます。

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さびしんぼう

 さて、尾道3部作のラストは「さびしんぼう」です。

 今回の尾道3部作の記事を読んでいただき、興味をもたれた方はDVDで映画をご覧になってください。おすすめします。

 以前にHPで書いた記事を再掲します。


 
 さびしんぼう

 ご覧になったことがあるあなた。この映画を好きだと言うのは、少し恥ずかしいでしょう。
 そうではありませんか?
 僕は、恥ずかしいのです。自分が十代の頃の胸の内に隠しておいた秘やかな「想い」が綴られているようで、実に恥ずかしい。
 そしてこの映画を、ものすごく大切に思っています。

 「さびしんぼう」を気に入って、スタッフ全員に命令して観せた巨匠と言うと誰だかわかりますか?
 黒澤明監督です。それがきっかけでもあるのでしょう。大林監督は、黒澤監督の「夢」のメーキング・フィルムを作ることになります。


 さびしんぼう 35mm 1985 112min 

 東宝映画
 アミューズ・シネマシティ提携作品
 製作協力 PSC
 東宝配給
 企画 PSC 製作:小倉斉 出口孝臣
 製作協力:根本敏雄 山本久
 プロデューサー:森岡道夫 久里耕介 大林恭子 
 原作:山中恒 『なんだかへんてこ』 
 
 脚本・編集・監督:大林宣彦
 脚本:剣持亘
 脚本・助監督:内藤忠司
 撮影監督:阪本善尚(JSC)
 音響デザイン:林昌平
 美術デザイン:薩谷和夫
 音楽監督:宮崎尚志

 出演:
 富田靖子
 尾美としのり
 藤田弓子
 小林稔侍
 佐藤允
 岸部一徳
 秋川リサ
 入江若葉
 樹木希林
 小林聡美他

 映画をご覧になったことがない人もいるでしょう。何しろ、もう一昔前の映画なのです。

 映画は、写真好きの高校生の望遠ズームの映像から始まります。その望遠ズームには、憧れの女子高が。
 髪の長い一人の少女がピアノをひいています。いつも右を向いて。つまり、少年は少女の片方の顔だけをいつも見つめています。彼女を見つめていると、心が「キューン」となるのです。

 さて、ここからが面白いのですが、ストーリーは内緒です。つまりは、観てください。

 富田靖子は主要な二役を演じています。一人は、憧れの少女である橘百合子。もう一人は、さびしんぼう。このさびしんぼうが、重要です。ヒロキの心を写す鏡となります。

 映画は、素晴らしく文学的です。そして、音楽的です。
 テーマ曲は、ショパンの「別れの曲」です。全編に「別れの曲」が流れます。

 文学的な映画であること。
 これは、象徴的な役割を富田靖子が演じるところからきていると思います。白塗りのピエロのような格好。舞台の衣装そのままに飛び出てきた謎の少女です。
 憧れの心、人を想いさびしくなる気持ち…これを、道化のような衣装とメイクの下に隠します。いつも、おどけているようです。しかし、時々見せるさびしい表情。そこには、憧憬と絶望と孤独と夢想が混じり合ったもののようです。
 白塗りの顔で見えない心を、尾美としのりが演じるヒロキは見つめます。
 「お前、泣いているのか?」
 ヒロキは、さびしんぼうの奥の心を感じ始めます。それでも、まだわからない。
 そして、憧れの少女、橘百合子。
 この少女も素顔を見せません。
 ヒロキは望遠レンズから彼女の片方の顔だけを見つめ続けます。
 それは、彼女の「表面の顔」です。
 彼女は、孤独で幸薄い生活をかいま見せます。
 向島にヒロキが渡し忘れていたクリスマス・プレゼントを届けに行ったとき、偶然に出会います。
 彼女は、言います。「あなたに好きになっていただいたのは、こっちの顔でしょう……どうか、こっちの顔だけ見ていて……反対側は見ないでください」

 ヒロキが見つめるのは、素顔を見せない二人の少女です。
 ここに文学的な雰囲気が生まれます。
 まるでこの映画のセットそのものという感じで、尾道のまちが舞台となります。そういえば、尾道は文学のまちでもありました。

 音楽的であること。
 ショパンの「別れの曲」の中盤を聴いたことがありますか?
 それは、美しい旋律の出だしと比べて、激しい叩きつけるような曲調です。
 ヒロキの乱れる心、激しく波打つ心がこの激しい「別れの曲」で重なります。
 そして、その音楽。
 「……親愛なるフレデリック・ショパンさんよ-あなたが、あの傷ましくも輝かしい十九世紀の青春に、命をかけて燃やした情熱の炎は、その肉体がほろんでしまった遠い今となってもなおさらにぼくらの感情を激しくゆさぶらないではいない。思えばこれこそが、あなたが永遠に願った真実の恋の勝利というものではなかっただろうか……」
 これは、ラストでのヒロキのモノローグです。
 肉体が滅んでしまっても、その「想い」を表した曲は、今でも僕らの感情を激しくゆさぶるのだ…これこそ、永遠の「想い」そのものではないか…。

 絶望的な幸福を描いた映画であること。
 さびしんぼうは、ヒロキに言います。
 「ひとを恋することは、とってもさびしいから、だからあたしはさびしんぼう」「でも、さびしくなんかないひとより、あたし、ずっと幸福よ」
 人を恋することは、さびしいことです。
 どんなに人を好きになって、さびしくなっても相手は、「さびしさ」をわかってくれない。
 この「さびしさ」を共有したいけれど、それは出来ないこと。
 その底には、「孤独」があるのです。死しても分かち合えない孤独。
 人は、恋することで「孤独」を感じます。
 さびしんぼうは、ヒロキに言います。
 「さびしくなんかないひとより、あたし、ずっと幸福よ」
 たとえ、どんなに絶望的で苦しいものであっても、それがどんなにさびしいものであっても、人を恋することは幸せなことなのだ…こんな、「絶望的な幸福」を白塗りのさびしんぼうが語ります。
 見えにくいさびしんぼうの心がヒロキに近づきます。
 
 雨が降る西願寺の階段でさびしんぼうがヒロキの帰りを待ってうずくまっています。
 彼女は、「写真」から飛び出したので、水に濡れると死んでしまうのです。
 それでもけなげにヒロキを待つさびしんぼう。
 「どうしたんだ、こんな雨の中を……風邪ひくぞ……第一、お前、水に濡れちゃいけないんじゃなかったのか?」
 「せめてもう一度、さよならを言いたかったの」
 「バカ……さあ、中へ入ろう」
 「いい……もういいの…でも、しばらくいっしょにいて」
 
 「ヒロキさん…あたし……ヒロキさんが大好き……」
 さびしんぼうは、消えていきます。 

 さびしさに苦しまない平らな心よりも、さびしさを見つめ、それを受け止めて「幸福」と感じる勇気があります。
 この映画は、さびしさを幸福だと感じる勇気の物語でもあるわけです。

 この映画には、小さな傷もあります。
 明らかに不自然な笑いの入れ方等です。
 でも、それを補って余りある素晴らしい叙情的な恋の物語です。
 そして、甘口のように見せかけておいて、実はとても残酷な映画です。

 この映画は、きっとあなたにとって、一生記憶に残る映画となることでしょう。

 「ひとがひとを恋うるとき、
  ひとは誰でも
 さびしんぼう
  になる-」

テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2008/08/17(日) 11:25:26|
  2. 映画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

こんばんは。
尾道三部作という響きが好きなだけで尾道に行って
「さびしんぼう」は見ていないのですが、穏やかで優しい映画のようですね。
尾美としのりさん、この映画で有名になりませんでしたっけ。
映画の中で聞くクラシック曲は、それまで聞いていた印象をまた変えることが多いです。
>その「想い」を表した曲は、今でも僕らの感情を激しくゆさぶるのだ…
そうですね~
「桜の園」で使われたチャイコフスキーのピアノ協奏曲は映画を見てから大好きになりました。
去年公開された「神童」の中のピアノ曲も良かったですよ。
この映画と曲はNOBUさんもお好きなんじゃないかと思いました。
ちょっと疲れたな~と感じた時など心を癒してくれるんじゃないかな
  1. URL |
  2. 2008/08/17(日) 23:36:49 |
  3. naomi #3un.pJ2M
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 naomiさん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 「さびしんぼう」は、尾道3部作でも最高傑作にあげる人が少なくありません(個人的には「転校生」が一番だと思っています)。繊細でとても素晴らしい作品です。機会がありましたら、ご覧になってください。尾道の街がまた違って見えると思います。
 
 「さびしんぼう」は、西願寺が舞台になっています。もちろん、実在するお寺でして…尾道駅の東側にあります(海側改札口を出て右側です)。

 尾美としのりさんは、この作品で有名になったかどうかはわかりませんが…好演しています。
 映画はショパンの「別れの曲」が全編に流れます。

 「桜の園」は僕も観ました。音楽もよかったと記憶しています。
 「神童」は未見です。よさそうな映画ですね。
 落ち着いたら、是非観たいと思います。

 最近、ちょっと疲れ気味です。
 精神的なものが大きいですから…映画を観て疲れをとりたいです。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 07:06:07 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

尾道のこと、あれこれステキに書いてくれていて、嬉しいです(市長ではありませんが・・笑)。
向島出身の私は、さびしんぼうの富田靖子さんに自分を勝手に重ねる懐かしい映画です。

同級生が、ガンと戦っています。ブログで紹介されているサプリメントの効果がとても気になります。勧めてみたいです。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 09:06:54 |
  3. まとら母 #z8Ev11P6
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 まとら母さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 記事にもありますが、「転校生」を観て、尾道を訪れました。
 何度か訪れていますが…回数を数えるのが面倒なので、やめてしまいました(10回以上は訪れていると思います)。
 
 尾道はいい街です。
 「さびしんぼう」の公開は、もう23年前になるんですね。
 名作は、何年たっても観る価値があると思います。

 同級生がガンと闘っているとのこと。
 サプリメントの詳細等のデータが必要でしたら、メールでご連絡ください(メール・アドレスをリンクさせています)。
 サプリメントの効きには個人差がありますから、どなたにも効くというわけにはいかないですが、試す価値はあると思います。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 09:54:29 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

ありがとうございます。

転校生の臨海学校の海はいつも泳いでいた、向島の立花という海水浴場です。
その向島に、去年できた民宿B&B潮風というのがあります。HPもお持ちです。

サプリメントのデータ、お手数ですが、よろしくお願いします。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 22:34:51 |
  3. まとら母 #z8Ev11P6
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 まとら母さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 「転校生」の臨海学校で、斉藤一美が泳げない一夫を助けに行くシーンはよかったです。
 向島の立花ですね。
 実は…数年前に、尾道からレンタルサイクルを飛ばして、立花まで行きました。
 海水浴場はロケ当時のままですね(懐かしかったです)。

 民宿B&B潮風ですか。いつか泊まってみたいです。

 サプリメントのデータは、メールでお知らせします。
 参考になさってください。

 それでは。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 23:30:44 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

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