【徒然なるままDIARY】

映画、音楽、写真(カメラ)、ネコ、旅行、絵画、オーディオ等…作者「NOBU」の興味があることを書きます。

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時をかける少女

 以前にHPで書いた記事です。

 「時をかける少女」はアニメーション版が作られました。
 実写版の「時をかける少女」が公開されてから、もう25年にもなるのですね…。
 ご存知の通り、「尾道3部作」の第2作目です。

 再掲します。
 


 時をかける少女

 この映画は、筒井康隆原作です。しかし、「筒井色」が表に出ていないせいか、それを意識させません。筒井氏自身も次のように語っています。
 「これは学習誌(『中三コース』~『高一コース』)の連載で、自分があまり得意ではないジャンルでしたから、非常に苦しんで書いた原作です。だから作品的には思い入れがなかったんですが、最初に試写で見て、自分の作品として、評価できない。続いてもう一回やるというので、二度見たわけです。二回見て、飽きなかったのですよ。これは、やっぱり良いんだなと思ってね。」(『筒井康隆かく語りき』(筒井康隆著 文芸社 120頁)

 製作当時『月刊カドカワ』という雑誌のロケ現場レポートを読んで、筒井氏が尾道を訪れて、大林監督と談笑している写真を見ました。不機嫌そうな(演出なのかもしれませんが)写真が多い筒井氏が、底抜けに楽しそうに笑っている様子が印象的でした。


時をかける少女
(35mm 1983 104min.)

角川春樹事務所作品 東映配給
製作協力 PSC
製作 角川春樹
プロデューサー 山田順彦 大林恭子

監督 大林宣彦
原作 筒井康隆
脚本 剣持亘
撮影 阪本善尚(JSC)
音楽監督 松任谷正隆
音楽プロデューサー 高桑忠男 石川光
美術デザイン 薩谷和夫
音楽デザイン 林昌平
録音 稲村和己
照明 渡辺昭夫

出演:
原田知世
高柳良一
尾美としのり
津田ゆかり
岸部一徳
根岸季衣
入江若葉
上原謙(特別出演)
入江たか子(特別出演)


 僕は、この映画を試写会で観ました。前作「転校生」でびっくり仰天して、TV版を数十回、映画版を数回観ていました。余談ですが、TV版「転校生」の方が、映画版「転校生」よりすぐれている点が少なくありません。しかし、再放映時に、TV版がズタズタにされて放映されました(何故だ)。TV版のよさを知る機会は少ないでしょう。

 試写会が終わり、アンケートに記入する時、がっかりしていたのです。あまりに期待が大きかったせいか、拍子抜けした気分でした。「転校生」の大胆かつデリケートな部分を感じることができずに、僕は暗い気持ちに陥っていました。

 その年、初めて尾道を訪れます。
 話が前後しますが、尾道に訪れた時は、試写を観る前でした。
 「転校生」で打ちのめされた僕は、アルバイトで貯めたお金で、尾道を訪れました。
 興奮の毎日です。

 商店街に、垂れ幕がかかっています。「「時をかける少女」尾道ロケ」というそれを見て、映画ロケが行われたことを知ります。当時、キネマ旬報で知りましたが、「廃市」の撮影が始まっていました。柳川でのロケです。僕は、尾道から柳川まで飛んでいきたい気持ちを抑えて、尾道を味わっていたのです。「時をかける少女」の撮影が行われたのが、春でした。僕は、その年の夏に訪れました。

 今でも定宿にしている尾道Rホテルのフロントに、原田知世や大林監督の写真が多数あります。ホテルの方にその理由をたずねたところ、原田知世がこのホテルに宿泊していたというのです。その時のスナップが、フロントにあったわけです。
 僕は、一歩づつ映画に近づいていきます。

 尾道の近くに竹原があります。小京都と呼ばれる古い街並みは、尾道とも違う落ち着きを見せます。
 僕は、尾道滞在中の一日をさいて、竹原を訪れました。今は、観光客が多く、またそれに合わせた店も多いのですが、当時は観光客は僕しかいないほどさびしいところでした。しかし、観光客に対する媚び(地元の人が、必死に古い街並みを保存しているのが伝わってきます)を感じない竹原をいっぺんで好きになります。余談ですが、絵画缶に展示してある油絵「竹原」は、この時に描いたスケッチと写真をもとにして描いたものです。

 僕は、一歩づつ映画に近づいていきます。

 そして、試写会です。
 僕は、がっかりとして家路につきます。
 帰る途中、あることに気づきます。
 この映画は、「尾道」ではなく、「竹原」の映画ではないか…。
 僕は、映画を観て驚いたのですが、竹原が登場します。
 絵に描いた階段を原田知世が降りていきます。

 「時をかける少女」に「転校生」を期待するのがおかしいのではないか…僕は、こう思い、公開された作品をもう一度映画館で観ます。ここで、数歩映画に近づきます。

 そこには、もう一本の傑作がありました。
 原田知世というアイドルが主演するいわゆる「アイドル映画」であるはずなのに、映画はしっとりとした趣をたたえ、深みのある映像、音楽が尾道と竹原を感じさせます。
 ああ、これは竹原の映画だ…尾道でロケも行われていますが、竹原のよさが画面にあふれています。
 尾道三部作というより、むしろ竹原を(主に)舞台にした作品だと言いたいのですが、まあいいでしょう。

 映画は、ある事件をきっかけにタイムリープの能力を身につけてしまった少女の話です。
 大林監督は、この物語を「悲劇」ととらえました。
 筒井康隆原作では、少女の「戸惑い」に重点を置いていたと思うのですが、大林監督は、原作の「戸惑い」を恋の物語として昇華させました。

 「理想の人に巡り会い、その人と想いを通わせることが出来た。その瞬間、記憶を失う。理想の人との出会いの記憶を失って生きていく。将来、たとえその理想の人と会ってもその人の記憶は…」

 この映画を「悲劇」だと言うと、違うと思われる方も多いでしょう。
 思い出してください。
 原田知世演じる主人公(芳山和子)が、大人になり、大学の廊下で「誰か」とぶつかります。彼に薬学部の場所をたずねられます。「?」一瞬の戸惑い。彼はわかっていたかもしれない。しかし、彼女はわからないのです。
 ここで、「逆ズーム※1」です。
 理想の人との再会を気づかずに、別れていく「残酷」を思います。
 「悲劇」なのですよ。本人が気づかない「残酷」であるから、表には出ません。でも、絶望的なまでの残酷さがこのラストに隠されています。

 大林監督の映画は、あたたかく、優しい映画のように感じられますが、こんな「残酷」を秘めているのです。

 筒井康隆原作の映画は他にもあります。「男たちのかいた絵」「おれの血は他人の血」「ウィークエンド・シャッフル」「スタア」「俗物図鑑」「ジャズ大名」「大いなる助走・文学賞殺人事件」「怖がる人々」(『乗越駅の刑罰』『五郎八航空』)…筒井ワールドと言うべき、独特な世界を映画化することは難しいのでしょう。

 冒頭の筒井氏の言葉を思い出してください。
 「自分の作品として、評価できない。」
 これは、大林宣彦という映画作家が、筒井康隆という作家の『時をかける少女』という小説を自分なりに読んで解釈して作り上げた世界が、映画「時をかける少女」なのだと思います。
 そこには、「真剣」があります。
 だからこそ、単なるアイドル映画ではなく、立派な作品となりえたのでしょう。

 この映画を愛する人は少なくありません。
 立派な素晴らしい作品です。
 僕もこよなく愛する一人です。

 映画に近づくには時間がかかるのです。
 僕は、また数歩、近づいていきます。


※1 逆ズーム
 「逆ズーム」は、大林監督が名付けた手法ですが、従来から用いられてきています。人物等は動かずに、キャメラが前後に移動します。その際、同時にズーミングを行い、人物等の大きさが変わらないようにします。すると、背景だけが近づく、あるいは遠ざかるという効果(パースペクティブの変化によります)が生まれます。映画「ジョーズ」でも用いられていました。主人公不安な気持ち等を表現するのに使われます。「時をかける少女」では、背景が遠ざかる手法として用い、「永遠の別れ」を表現していました。

テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2008/08/17(日) 10:08:39|
  2. 映画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

おはようございます♪

NOBUさん、こんにちは。
そうでしたか・・尾道がロケ地だったのですね。この物語を当時は
文庫本でしか読んでいなくて、映画では原田知世が主役だという
くらいしか知りませんでした。
その原田さんも、今ではブレンディコーヒーのCMの中でしか、お目
にかかれませんが、当時は“綺麗な少女”だったと記憶しています。

ところでNOBUさん、それにしても世界、全国、至る場所に出没され
ておられるのですね。
  1. URL |
  2. 2008/08/17(日) 10:38:08 |
  3. 伊織 #4DOcPobI
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 伊織さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 「時をかける少女」は、主に竹原と尾道でロケが行われました。
 音楽監督を松任谷正隆さん(松任谷由実さんの旦那さん)が担当しています。
 映画の前に、大林監督が松任谷さんに映画「ある日どこかで」を観てもらったそうです(「ある日どこかで」について書いた記事もあるので後でアップします)。
 涙をボロボロと流す松任谷さんを見て、大林監督は、松任谷さんに映画音楽を任せる事を決めたそうです。
 
 「ある日どこかで」の音楽は素晴らしいのですが…その雰囲気は少し「時をかける少女」にも感じられます。

 原田知世さんは、一時期低迷していましたが…最近はよい女優になったと思います。

 別記事でアップしましたが…映画「転校生」を観て、ガツンとショックを受けて、すぐにアルバイトを始めて(お金をためて)尾道に出かけました。この頃からです…尾道が好きで訪れているのは。
  1. URL |
  2. 2008/08/17(日) 11:21:20 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

NOBUさん

こんばんは~☆
ちょっと ご無沙汰していたら
たくさ~ん 更新なさっていて
いま ワクワクしながら
拝読中です^^*

そして
時をかける少女 
ここで 立ち止まってしまいました^^@

ダイスキな映画。。
ラスト☆シーン
もしかすると
記憶は失っていても
このあと 
はじめてのように
出逢って 恋に落ちるのでは?
なんて 
思ってしまいます^^

転生しても 大事なヒトとは
かならず 巡り合うとか
そう 信じていたいから
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 22:15:25 |
  3. 吟遊詩人☆ #-
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 吟遊詩人さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 ずいぶん前からHPをやっていまして…映画については、100本以上の記事があります(時間が出来たらHPをリニューアルしようと思っています)。
 しばらく前に書いたものですが…今でも通じるものについては、機会をみてアップしようと思っています。

 「時をかける少女」はいいですよね。
 僕は、観た回数はわかりません…。数十回は観ています。

 また、大事な人と巡り会うことが出来る…これも「あり」ですね。

 僕は、記事に書いたように「悲劇」ととらえました。
 大林さんの作品は、一見、肌触りがよいのですが…その実、根底に残酷で孤独なものが流れていることが多いように思います。そして、それだけではなくて…だからこそ、今生きていること、あるいは人を恋することが大事だということに至ります。

 色々な解釈が出来るということは、よい作品の証拠だと思っています。
 スタンリー・キューブリック監督は、あえて作品の行間を多くしています(名作「2001年宇宙の旅」は多様に解釈されていますね)。

 エンディングの「カーテン・コール」は楽しいですね。

 余談ですが、「ある日どこかで」はご覧になりましたか?
 僕は、「時をかける少女」は「ある日どこかで」の影響が大きいと思っています(作品的にも音楽的にもです)。
 「ある日どこかで」は、究極の恋愛映画と言いましょうか…僕は涙がとまりませんでした。素晴らしい作品だと思います。

 それでは。
  1. URL |
  2. 2008/08/18(月) 23:26:44 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

ある日どこかで
Come back to me^^*

あのシネマを観て
懐中時計に憧れました^^
ラフマニノフ♪
時の旅人。。

>だからこそ、今生きていること、
あるいは人を恋することが大事だということ

ほんとうに
生きること 恋することを
楽しもうって 思います ココロから

>HPを
だから NOBUさんのアドレス
moviebox なんですね♪
  1. URL |
  2. 2008/08/20(水) 09:46:16 |
  3. 吟遊詩人☆ #-
  4. [ 編集]

ありがとうございます

 吟遊詩人さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 「ある日どこかで」はご覧になっていましたか。
 正直、設定等はかなり矛盾があります。SFと言うより、ファンタジーと言いたくなります。
 それでも、人が人を恋する気持ちにリアリティがありました。
 想いの強さは死をも超える…ここにぎりぎりでセンチメンタリズムではない、リリシズムを感じました。

 懐中時計がうまく使われていましたね。

 生きること、恋することも、つらいことは多いです。
 それでも、つらいだけでなく、素晴らしいことだ…と、思える勇気が大切だと思います。
 今は、これが足りないような気がします。

 このブログは、写真ブログでも映画ブログでもない、ごった煮ブログだと思っています。
 ただ、僕の気持ちの中には「映画」があります。
 それで、ブログのアドレスがmovieboxになっています。
  1. URL |
  2. 2008/08/20(水) 22:57:16 |
  3. NOBU #bf2PXrYQ
  4. [ 編集]

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